猫さんの宝物部屋
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「お待たせ致しました、ご主人様」
マニュアル通りの台詞は簡単だが、言い慣れないせいで舌を噛みそうになる。
特別室という名の、怪しげな個室のドアを開けたナルトは、そのままカチンと固まった。
「久し振りだねー、ナルト」
「カ、カカカカカシ先生!?なな何でここに!?」
そこに居たのは、忍服姿のカカシだった。
任務を終えたばかりなのか、ベストが少し汚れている。
額当てと口布を取った姿でオープンに出迎えられ、ナルトは面食らった。
「それを言いたいのはオレの方だよ。いいから、こっちにおいで」
「お、おう」
ドアを閉めたナルトは、大きな革張りのソファに座るカカシの傍に近付いた。
「後で使うから、それ置いて」
「?」
言われるままナルトは、持ってきたパフェを、トレイごと大きな木製の
テーブルの上に置いた。
「似合うじゃない」
「う……」
上から下までしげしげと眺められ、ナルトは居たたまれなさと気まずさに俯いた。
「随分大人しいね」
「こんな恰好、知ってるヤツに見られたくなかったんだってば。なのにまさか、
カカシ先生に見つかっちまうなんて……」
「一日早く任務を片付けてきたからね。でも、お陰で助かったよ。これ以上、
オカズにされたら大変だからな」
「へ?」
オカズの意味がわからず、ナルトはきょとんとカカシを見つめた。
「サクラが教えてくれたんだ。金に目が眩んだナルトが、
自来也様の所でイカガワしいバイトをしてるってね」
「い、イカガワしいって……」
「聞いたよ?何人かの男に、膝枕付きで耳かきしてやったっていうじゃない」
「あれは、ここで食事した人のオプションだってばよ。何だかわからねぇけど、
オレばっか指名が来たんだってば」
「当たり前だろ。お前の、その足を見たらね」
溜め息交じりに呟くカカシに、ナルトは眉を寄せた。
「こんな棒みてーな足、ゴリゴリして痛ぇだけじゃん。みんなどうかしてるってば」
「わかってないねー、お前。膝枕といえば、男のロマンでしょ」
「そんなモンが、何でロマンなんだってばよ!」
ムッとするナルトに苦笑したカカシは、ナルトの腕を引くと、自分の隣に座らせた。
そして身体を倒し、メイド服姿のナルトの膝に頭を乗せる。
「な、なっ、カカシ先生!?」
「オレにも耳かきしてよ、ナルト」
「は!?」
「この部屋とお前を、ラストまで貸し切ったから。何の邪魔も入らないし、
入らせないから大丈夫」
ハッとドアを見ると、侵入避けの札が貼られている。
密室と化した特別室に、ナルトの顔が強張った。
………
カカシは、ナルトの膝の上で眼を細めた。
「上手じゃない、ナルト」
「修行中に、エロ仙人に教わったんだってばよ」
「自来也様に?」
ナルトは頷いた。
「最初は、ワシの鼓膜を破る気かって怒鳴られてさ。でもって、特訓したんだってばよ」
「ふぅん……ってことは、何回も自来也様を膝枕してたんだ?」
拗ねたように言われ、ナルトは苦笑した。
「いつか役に立つときがくるからって真顔で言われてさ。でもオレってば
まだガキだったから、足も膝も痺れて大変だったってばよ」
竹製の耳かきを操りながら、ナルトは小さな声で言った。
「でもさ?こうやって、カカシ先生の耳かきができるんなら、
覚えといてよかったかなぁ、なーんて」
照れくさそうなナルトの言葉を聞きながら、カカシはここに来るまでのことを
思い起こしていた。
…………
「あれ?……ナルト?」
三日掛かる任務を二日で終わらせたカカシは、まっすぐにナルトの家に向かった。
恋人同士になってからというもの、一日でも顔を見ないと落ち着かない。
ナルトはずっと片想いだったといっていたが、自分はその年数の何倍も想い続けてきた。
想いが通じた今、常にナルトに触れていなければ落ち着かないほど飢えている自分に、
カカシは苦笑した。
なのに、そのナルトがいない。
「出掛けたのか?」
ポーチに鍵を仕舞ったカカシは、買い物にでも行ったのかと思いつつ、
ナルトのベッドに腰掛けた。
白いシーツを見ていると、そこに横たわるナルトを思い出す。
初めて抱き合ったのは自分のベッドだったが、最近はナルトのベッドで
肌を交わすことが多くなった。
ナルトのベッドは狭く、古いせいか軋みも激しい。
その音に煽られることもあるが、やはり大きなベッドで存分に抱き合いたかった。
「早く引っ越してくればいいのに……アイツも頑固だからな」
苦笑するカカシの耳に、チャイムの音が響いた。
「はーい」
覚えのあるチャクラに、家主の如く返事をしたカカシは、大きくドアを開けた。
「カカシ先生!?」
「やあサクラ、久し振り。ナルトに何の用事?」
ニッコリと笑うカカシだが、その眼は全く笑っていない。
恋愛百戦錬磨の男の、意外な度量の狭さを目の当たりにし、サクラは肩を竦めた。
「ナルトの着替えを取りに来たんです」
「着替え!?どういうこと、サクラ」
「ナルトは今、メイド喫茶で私たちと一緒にバイトしてるんですよ」
「メイド喫茶?」
噂には聞いたことがある。
自来也プロデュースの、イチャパラをモチーフにした可愛らしくも
お色気満点のサービスが売りの喫茶店だ。
「何で、そこにナルトが……」
「相当お金に困ってるらしいわよ。カカシ先生っていうお財布があるのにね」
サクラの言葉に、カカシはグッと詰まった。
「ナルトは今、可愛いメイド姿で接客中よ。男性客が押し寄せ過ぎて、いのが
必死に捌いてる最中なの」
無言のまま立ち上がったカカシは、部屋の隅にあるタンスを指差した。
「そこから、適当に見繕って持ってってくれる?なるべく地味なヤツね」
「カカシ先生!?」
「鍵はこれ。後で返してね」
「カカシ先生!」
サクラが声を掛けたときには、カカシの姿は煙と共に消え去っていた。
…………
『イチャイチャカフェ』という、ネーミングからして怪しい喫茶店に着いたカカシは、
忍服姿のまま店内に入った。
「おぅ、カカシ!」
「アスマ?ゲンマも、何でここに」
「ナルトのメイド姿を拝んで行こうと思ってな。そこらの娘よりずっと可愛いって
評判だぞ、カカシ」
「だから来たんだよ。アイツ……全く、何考えてるんだか」
「いいじゃねぇか、バイトくらい。お前が贅沢させてやらねぇからだぞ?」
「だってアイツ、オレの世話になりたくないっていうんだよ?普通、
恋人だったらベタベタ甘えて、おねだりするもんでしょ」
「ナルトは男だからなぁ。お前におんぶにダッコじゃ、プライドが
赦さねぇんだろうよ」
「だからって、あんな恰好……」
あんな、というものの、カカシの視界に飛び込んできたメイド服姿のナルトは、
穢れのない天使のようでもあり、男を惑わす小悪魔のようにも見えた。
白いニーソックスを履いた細く長い足に、眼が惹き寄せられてしまう。
ナルトが歩くたび、ペチコートが揺れる。
右足の太腿の上にだけ、赤いリボンが結んであるのが、たまらなく蠱惑的だった。
「自来也様に直談判してくる」
見知らぬ男達に微笑むナルトの姿を見たカカシは、足音も荒く店の奥に突き進んでいった。
「あのカカシさんが……変われば変わるもんですねぇ」
「あんなに嫉妬深いとは思わなかったぜ。ナルトも、面倒な男に惚れたもんだ」
「膝枕は無理でしたね」
「全くだぜ。いい機会だったのによ」
ククッと笑ったアスマは、タバコの煙で輪を作った。
続。
マニュアル通りの台詞は簡単だが、言い慣れないせいで舌を噛みそうになる。
特別室という名の、怪しげな個室のドアを開けたナルトは、そのままカチンと固まった。
「久し振りだねー、ナルト」
「カ、カカカカカシ先生!?なな何でここに!?」
そこに居たのは、忍服姿のカカシだった。
任務を終えたばかりなのか、ベストが少し汚れている。
額当てと口布を取った姿でオープンに出迎えられ、ナルトは面食らった。
「それを言いたいのはオレの方だよ。いいから、こっちにおいで」
「お、おう」
ドアを閉めたナルトは、大きな革張りのソファに座るカカシの傍に近付いた。
「後で使うから、それ置いて」
「?」
言われるままナルトは、持ってきたパフェを、トレイごと大きな木製の
テーブルの上に置いた。
「似合うじゃない」
「う……」
上から下までしげしげと眺められ、ナルトは居たたまれなさと気まずさに俯いた。
「随分大人しいね」
「こんな恰好、知ってるヤツに見られたくなかったんだってば。なのにまさか、
カカシ先生に見つかっちまうなんて……」
「一日早く任務を片付けてきたからね。でも、お陰で助かったよ。これ以上、
オカズにされたら大変だからな」
「へ?」
オカズの意味がわからず、ナルトはきょとんとカカシを見つめた。
「サクラが教えてくれたんだ。金に目が眩んだナルトが、
自来也様の所でイカガワしいバイトをしてるってね」
「い、イカガワしいって……」
「聞いたよ?何人かの男に、膝枕付きで耳かきしてやったっていうじゃない」
「あれは、ここで食事した人のオプションだってばよ。何だかわからねぇけど、
オレばっか指名が来たんだってば」
「当たり前だろ。お前の、その足を見たらね」
溜め息交じりに呟くカカシに、ナルトは眉を寄せた。
「こんな棒みてーな足、ゴリゴリして痛ぇだけじゃん。みんなどうかしてるってば」
「わかってないねー、お前。膝枕といえば、男のロマンでしょ」
「そんなモンが、何でロマンなんだってばよ!」
ムッとするナルトに苦笑したカカシは、ナルトの腕を引くと、自分の隣に座らせた。
そして身体を倒し、メイド服姿のナルトの膝に頭を乗せる。
「な、なっ、カカシ先生!?」
「オレにも耳かきしてよ、ナルト」
「は!?」
「この部屋とお前を、ラストまで貸し切ったから。何の邪魔も入らないし、
入らせないから大丈夫」
ハッとドアを見ると、侵入避けの札が貼られている。
密室と化した特別室に、ナルトの顔が強張った。
………
カカシは、ナルトの膝の上で眼を細めた。
「上手じゃない、ナルト」
「修行中に、エロ仙人に教わったんだってばよ」
「自来也様に?」
ナルトは頷いた。
「最初は、ワシの鼓膜を破る気かって怒鳴られてさ。でもって、特訓したんだってばよ」
「ふぅん……ってことは、何回も自来也様を膝枕してたんだ?」
拗ねたように言われ、ナルトは苦笑した。
「いつか役に立つときがくるからって真顔で言われてさ。でもオレってば
まだガキだったから、足も膝も痺れて大変だったってばよ」
竹製の耳かきを操りながら、ナルトは小さな声で言った。
「でもさ?こうやって、カカシ先生の耳かきができるんなら、
覚えといてよかったかなぁ、なーんて」
照れくさそうなナルトの言葉を聞きながら、カカシはここに来るまでのことを
思い起こしていた。
…………
「あれ?……ナルト?」
三日掛かる任務を二日で終わらせたカカシは、まっすぐにナルトの家に向かった。
恋人同士になってからというもの、一日でも顔を見ないと落ち着かない。
ナルトはずっと片想いだったといっていたが、自分はその年数の何倍も想い続けてきた。
想いが通じた今、常にナルトに触れていなければ落ち着かないほど飢えている自分に、
カカシは苦笑した。
なのに、そのナルトがいない。
「出掛けたのか?」
ポーチに鍵を仕舞ったカカシは、買い物にでも行ったのかと思いつつ、
ナルトのベッドに腰掛けた。
白いシーツを見ていると、そこに横たわるナルトを思い出す。
初めて抱き合ったのは自分のベッドだったが、最近はナルトのベッドで
肌を交わすことが多くなった。
ナルトのベッドは狭く、古いせいか軋みも激しい。
その音に煽られることもあるが、やはり大きなベッドで存分に抱き合いたかった。
「早く引っ越してくればいいのに……アイツも頑固だからな」
苦笑するカカシの耳に、チャイムの音が響いた。
「はーい」
覚えのあるチャクラに、家主の如く返事をしたカカシは、大きくドアを開けた。
「カカシ先生!?」
「やあサクラ、久し振り。ナルトに何の用事?」
ニッコリと笑うカカシだが、その眼は全く笑っていない。
恋愛百戦錬磨の男の、意外な度量の狭さを目の当たりにし、サクラは肩を竦めた。
「ナルトの着替えを取りに来たんです」
「着替え!?どういうこと、サクラ」
「ナルトは今、メイド喫茶で私たちと一緒にバイトしてるんですよ」
「メイド喫茶?」
噂には聞いたことがある。
自来也プロデュースの、イチャパラをモチーフにした可愛らしくも
お色気満点のサービスが売りの喫茶店だ。
「何で、そこにナルトが……」
「相当お金に困ってるらしいわよ。カカシ先生っていうお財布があるのにね」
サクラの言葉に、カカシはグッと詰まった。
「ナルトは今、可愛いメイド姿で接客中よ。男性客が押し寄せ過ぎて、いのが
必死に捌いてる最中なの」
無言のまま立ち上がったカカシは、部屋の隅にあるタンスを指差した。
「そこから、適当に見繕って持ってってくれる?なるべく地味なヤツね」
「カカシ先生!?」
「鍵はこれ。後で返してね」
「カカシ先生!」
サクラが声を掛けたときには、カカシの姿は煙と共に消え去っていた。
…………
『イチャイチャカフェ』という、ネーミングからして怪しい喫茶店に着いたカカシは、
忍服姿のまま店内に入った。
「おぅ、カカシ!」
「アスマ?ゲンマも、何でここに」
「ナルトのメイド姿を拝んで行こうと思ってな。そこらの娘よりずっと可愛いって
評判だぞ、カカシ」
「だから来たんだよ。アイツ……全く、何考えてるんだか」
「いいじゃねぇか、バイトくらい。お前が贅沢させてやらねぇからだぞ?」
「だってアイツ、オレの世話になりたくないっていうんだよ?普通、
恋人だったらベタベタ甘えて、おねだりするもんでしょ」
「ナルトは男だからなぁ。お前におんぶにダッコじゃ、プライドが
赦さねぇんだろうよ」
「だからって、あんな恰好……」
あんな、というものの、カカシの視界に飛び込んできたメイド服姿のナルトは、
穢れのない天使のようでもあり、男を惑わす小悪魔のようにも見えた。
白いニーソックスを履いた細く長い足に、眼が惹き寄せられてしまう。
ナルトが歩くたび、ペチコートが揺れる。
右足の太腿の上にだけ、赤いリボンが結んであるのが、たまらなく蠱惑的だった。
「自来也様に直談判してくる」
見知らぬ男達に微笑むナルトの姿を見たカカシは、足音も荒く店の奥に突き進んでいった。
「あのカカシさんが……変われば変わるもんですねぇ」
「あんなに嫉妬深いとは思わなかったぜ。ナルトも、面倒な男に惚れたもんだ」
「膝枕は無理でしたね」
「全くだぜ。いい機会だったのによ」
ククッと笑ったアスマは、タバコの煙で輪を作った。
続。
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